毛無岩~立岩
日付 2009年12月4日(金)
山域 西上州
メンバー 単独
山行形態 前夜泊日帰り
アクセス 電車、バス
ルート (Map) 羽根沢→吉祥寺→毛無岩→立岩→吉祥寺→羽根沢


毛無岩と立岩は西上州の奥深くにある知られざる岩峰だ。
登山を始めた頃に登った荒船山の帰りに立岩を眺めて以来、ずっと気になっている山だった。
ところが、この辺りは平日しか朝のバスが走っておらず、マイカーが無いと休日には登ることができない。
さらに、2年前の台風9号の影響により、毛無岩と立岩を結ぶ稜線は崩壊、地図からも線が消されてしまった。
休みが取れた金曜日は晴天予報、この機会に崩壊した登山道を辿って毛無岩と立岩に登ってみることにする。
事前に調べたところ、台風後にもこの稜線を歩いている記録はあったので、何とかなるだろう。

8:18 羽根沢バス停到着。標高460m。
ここは3年前に荒船山に登ったときの下山地点で、ここに来るのはそのとき以来だ。

相変わらず立岩は鋭い岩峰を際立たせている。

車道を荒船山・立岩方面と分けて、道場集落のほうに向かう。
遠くに毛無岩の岩峰が見えてくる。
この山は立岩と違って奥の方にあるので、なかなかその姿を拝むことはできない。

車道脇にある神社。少し寄って手を合わせていく。

車道を突き当りまで行くと、毛無岩登山道入口の標識に到着する。
しかし登ろうと思っている登山道入口とは周囲の地形が違う。
おそらくここは台風で崩壊してしまった登山道の入口だろう。

少し車道を戻る。この分岐点を右に行くのが正しいルートのようだ。
付近に標識は何も無く、なかなか紛らわしいところだ。

その先のトヤ山方面との分岐も分けて、杉植林地帯に入っていく。

登山道入口からずっと標識も何もなかったが、ようやく毛無岩の標識が現れる。
これで安心して先に進んでいける。

西上州の岩峰とはいえ、気持ちの良い尾根道が続き、
この辺りは普通の登山道とさほど景観は変わらない。

どんどん登っていくと、尾根はだんだんとやせ細ってくる。
ただ、この辺りの登山道もよく整備されていて危険は無い。

こんな細い稜線上に石垣?と思ったら、自然にできた岩だった。

左手後方にはこれから登る予定の立岩が見えている。
果たしてあそこまで辿り着けるだろうか?

そして視界が開けると、前方に最初に目指す毛無岩がだいぶ近くに見えている。

毛無岩直下は登山道がかなりの急斜面になる。
木の幹や枝につかまりながら登っていく。
ぐるぐるねじれた不思議な木が横たわっている。

急坂をよじ登ると、目の前に毛無岩の岩峰が現れる。左側は100mの絶壁だ。

下を覗き込む。本当に90度の壁なので、真下が見えて高度感がある。

10:46 毛無岩山頂到着。
西上州で際立つ岩峰だが、登山道に岩場は一箇所も無かった。

北の方角は良く晴れていて、展望が広がっている。
妙義山の岩塊、その向うには榛名山が見えている。
その北にある上越国境の山々は雲の中だ。

西側は雲に覆われている。この辺りがちょうど晴と曇の境目で、
すぐ近くにある荒船山はトモ岩の岩壁がわずかに見える程度だ。

ここから立岩に続く稜線が、台風で崩壊した登山道だ。
気合を入れて一歩を踏み出す。かなりのやせ尾根が続くが、道はしっかりしている。

何本もの石柱が地面から突き出している。柱状節理というやつだろう。

この辺りの登山道は標識もあり、歩くのに全く支障はない。

さらに進むと少し登山道が荒れてくる。
多くの樹木がなぎ倒されていて、台風の影響が一目でわかる。

巨大な岩壁が現れ、ここから登山道は巻道になる。
この巻道が癖もので、もし岩壁上につけられた登山道が崩壊していたら完全に通行不能だ。

岩に穴が開いている。これも自然に開いた穴だ。
たいていこういう場所には何か祀られていたりするものだが、ここには何もない。

頭上を見上げると、ここでも見事な柱状節理が見られる。

登山道は岩壁下についていて、比較的安全に歩ける。
一箇所崩落しているところがあり、気をつけて通過する。
傾斜は緩いので、転んでも泥んこにはなるが、怪我はしないところだ。

通常の登山道と合流し、立岩の標識が現れる。
結局、毛無岩-立岩の稜線は崩壊しているところはあっても危険なところは無かった。
ここから1時間ほどで荒船山に行けるが、山頂だけを踏んでも仕方の無い山なのでパスする。

荒船山との道を分けて歩いていくと、程なくして立岩の岩峰が目の前に現れる。

立岩の手前に小さな鎖場がある。本山行での数少ない鎖場だ。

左手に視界が開ける。毛無岩と歩いてきた稜線が見渡せる。

13:30 立岩山頂到着。標高1265m。
ベンチなどもあり、岩の上とは思えないような山頂だ。

山頂直下の展望台からは東側の展望が大きく開ける。
こちらは良く晴れていて、遠くの両神山もばっちり見える。

西側も少しずつ天気が回復してきている。一番高いピークが荒船山の山頂だ。
その向こう側に溶岩台地が広がっているが、ここからは見えない。

道端に木彫りの地蔵が置かれている。木彫りとは珍しい。

下山を開始する。狭い道のど真ん中にベンチが置かれている…

先ほど登った山は西立岩で、もう一つ、登山道はないが東立岩というものもある。
西立岩との鞍部から下山道と分かれて東立岩をめざす。
この辺りだけなぜか笹薮が濃い。

稜線上から振り返ると、西立岩の岩峰に圧倒される。

東立岩山頂(と思われるところ)に到着する。
結局今回の山行ではこのピークに到達するのが一番難易度が高かった。

分岐点に戻り、後は淡々と下っていく。

下山道は意外に危ういところがある。
長い岩棚の下りは、足元はしっかりしているが、落ちると危険なところだ。

その後は岩壁に囲まれたガレ場を下っていく。
そこそこ急斜面で、不安定な石が多く、石を落とさずに歩くのは辛い。
あまり下りでは使いたくない道だ。

ガレ場が過ぎても登山道はしばらく急斜面が続く。ひざに優しくない道だ。
際立って難しいところは無いものの、さすがに西上州の山道は奥多摩や丹沢とは違う。

立岩登山道入口に下山。あとは車道を歩いていくだけだ。

車道脇にある線ヶ滝に寄っていく。落差40mの美しい滝だ。
この滝に来るのも荒船山に登ったとき以来だ。

滝壷まで下りると、鋭いV字渓谷を水が流れていく。
この辺りの景観もよく覚えている。

滝見学を終えたら、後はバス停に向かって歩くのみ。
堰堤には多くの流木が堆積している。誰か片付ける人はいないのだろうか?

立岩はこの辺りの集落から非常によく目立つ。
左が西立岩、右が東立岩だ。

交通が不便な山奥だが、西上州にはあちこちに集落が点在している。
西上州の岩峰とこの素朴な風景に惹かれる登山者は、少なからず存在する。

木で造ったリング。木に継ぎ目は見当たらず、
どうやって造ったのだろうと、はたと考え込んでしまった。

15:54 羽根沢バス停到着。
アクセスが不便な遠い遠い山。
前から登りたかった2峰に登ることができ、充実した山行だった。
平日ということもあり、今日は山で誰とも出会わなかった。


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