若潮マラソン
日付 2010年1月31日(日)
メンバー 友人(男3女2)
アクセス 電車、船

 フルマラソンを走ってみたい。突然そう思い立ったのは1年ほど前だった。自分がフルマラソンを走るとどのくらいのタイムで走れるのか興味があった。手始めに近所を5kmほどゆっくり走ってみたが、信じられないくらいに辛い。あたりまえだ。小学生の頃は毎朝のように走っていた記憶があるが、それ以来15年以上全くランニングというものをしていない。それでも、山での体力を付けるためというのもあって10km程度の距離を時々走るようになった。

 転機が訪れたのは昨年の6月ごろ。山仲間の一人に走るのが好きな人がいて、フルマラソンも走ったことがあるとのこと。この冬フルマラソンの大会に出ようという話になる。場所は千葉の南端・館山。ずいぶん遠い場所だが、彼女はそのコースを走ったことがあり、景色がよくて素晴らしいコースらしい。こうして館山の若潮マラソンに参加することになった。他にもマラソンに興味がありそうな何人かに声をかけて3人が集まり、計5人で走ることになった。5人中4人は初フルマラソンという素人集団だ。

 半年経って、マラソン大会の日を迎える。館山は遠いのでマラソン大会前日に移動、館山駅で合流して宿に移動する。みんな案外リラックスムードだ。合同練習なるものはほとんどやらなかったので、タイムを持っている一人を除いては、誰がどの程度走れるのか全くの未知。こちらは一月ほど前に右膝を痛めてしまい、練習を休んでずっと安静にしていた。久々に走るので体力が落ちていないか、そして膝が痛くならないかが心配だ。外に出ると夕日が東京湾の向こうに落ちていく。館山は美しいところだ。空はきれいに晴れ渡っている。夕飯は軽く宴会を行い、翌日に備えて早めに寝る。

 大会当日、朝起きて外を見ると曇予報に反して青空が広がっている。足にテーピングを貼って準備万端、会場に向かう。宿から会場までは2kmほどで、のんびりと歩いていく。奇しくもこの道はフルマラソンのコースのラスト2kmでもある。数時間後はここを走っていることだろう。大会に出る人がアップをしているのだろうか、付近にはジョギングをしている人がちらほらいる。

 大会会場に到着。もうすでに多くの人が集まっている。適当な場所にシートを敷いて準備を行う。さすがに少し落ち着かない。それにしても今日は暑い。手袋などの防寒着は全く不要だ。これまで練習は仕事が終わった後の夜に行っていたため、寒いところで走るのは慣れているが、暑さには慣れていない。練習のときより体力を消耗しそうだ。

 大会本部から放送があり、スタートラインに移動する。スタートラインに移動といっても、参加者数はおよそ4000人、スタートライン遥か後方に並ぶ。並ぶ場所はゼッケン番号によって異なるので、ここで皆とばらばらになる。ゴールするまで会うことはないかもしれない。

 午前10時ちょうどに号砲。と同時に走り出す訳には行かない。列は長いため最初は全く動かない。しばらくすると列が動き出し、ぞろぞろと歩き出す。スタートラインに辿り着いたのは号砲から2分半ほど経過した後。スタートラインを割ってようやく走り出すことができる。沿道では多くの人が応援してくれている。

 スタート直後は人数が多すぎてなかなか思うように走れない。1kmほど走ると少し人もばらけてくるので、右に左に追い抜いていく。この辺りは足の速い人も遅い人も混ざって走っているため、かなり走りにくい。9kmあたりで、ようやく前を走っている仲間に追いつく。女性は参加人数が少ないためスタート時に前のほうに並べるのだ。先行逃げ切りを狙っていたので、追いつくのが少し遅すぎるのだが、仕方がない。

 10kmはらくらく通過する。こんなところで疲れていては話にならない。ここまで来ると人の数はだいぶ少なくなり、完全に自分のペースで走れる。また走るペースは皆ほぼ同じで、抜くことも抜かれることもなくなってくる。7~8km毎に給水所があり、水やアクエリアスが用意されている。しかし、走りながら水を飲むというのは何とも難しい。ペットボトルやストローなら問題はないが、紙コップでは話にならない。飲めるのは1割程度で、9割はこぼしている。

 21km中間地点を通過。通過タイムは1時間45分。ほぼ想定通りのタイムだ。タイムは練習のときと変わらなくても、疲労感は練習のときより大きい。1ヶ月のブランクのせいか、暑いからか、コースにアップダウンがあるからか、理由は分からない。ペースはどんどん落ちていく。周りの人は全くペースを落とさないので、次々と抜かれていく。このタイムでこの辺りを走っている人は皆速いのだ。格好も皆まともでサポートタイツを履いている人や、短パンの人はいるが、自分のようにジャージを履いて走っている人などいない。それでも歩くような速度で走っていく。

 何とか30kmを通過。フルマラソンでは「30kmの壁」という言葉が有名だ。それまで順調に走れていたものが、突然30kmで足が止まってしまうというものだ。しかし20kmですでに足は止まっているので、30kmの壁などもう無い。給水所では足を止めて、アクエリアスを飲んで、ストレッチをして走り出す。ペースは遅すぎて、もはや走っているという感じはしないが、ここまで来るともうちらほらと歩いている人もいるので気が楽だ。右膝に力が入らなくなってくる。やはり完治はしていなかったようだ。

 34kmを通過、36kmを通過、、、距離表示は2km毎にあるが、2kmが果てしなく遠い。4時間のペースランナーが追い抜いていく。何とかくらい付いて行きたいのだが、膝が痛くてまともに走れない。4時間を切るのは諦める。後ろからコスプレの格好をした人が追い抜いていく。忍者、女子高生、、、何か馬鹿にされているようで悔しい。

 ラスト3km。後ろからひたひたと仲間が近づいてくるように感じる。4時間を切るのは無理でも、せめて5人の中では1位になりたい。最後の3kmくらいまともに走ることにする。ここを走り切れれば勝てるだろう。左足を大きく踏み出し、右足は左足のすぐ前に置く。かなりいびつなフォームだが、右足をかばいながら走っていく。案外走れるものだ。

 ラスト2km。右手に昨夜泊まった宿が見えてくる。沿道で応援する人も増えてくる。ラスト1km、あとわずかだ。沿道では「あと3km、頑張れー」と声援を送っている人がいる。嫌がらせか?あと3kmなら死んでしまう。橋を渡るとようやくゴールが見えてくる。あと200mほどだ。

 右足を引きずりながら何とかゴール。タイムは4:03:12だった。シートに戻ってみたが誰もいない。まだ誰もゴールしていないようだ。再びゴール付近に戻ってしばらく待つと、2人目がゴールイン。12分差の薄氷の勝利だった。あとのメンバーはいつ来るか分からないのでシートに戻って、振舞われているトン汁やクリームパンを食べながらのんびりと待つ。空には雲が広がってきて寒い。4時間45分で3人目がゴール、5時間30分、40分で2人が立て続けにゴールし、全員が無事完走できた。

 館山マラソンの制限時間は6時間。決してシビアな制限時間ではないが、東京マラソン(制限時間7時間)やホノルルマラソン(制限時間なし)よりは厳しい。その中で5人全員が完走できたのは何よりだった。荷物を置かせてもらっている宿まで移動することにする。道路ではまだ必死に走っているランナーがいる。6時間のペースランナーが走っていく。そのペースランナーから遅れるということは、完走出来ないということを意味する。何とか完走しようと、死人の群れのようにランナーがペースランナーに付いて走って行く。皆、己のベストを尽くしているのだ。宿に戻って風呂に入らしてもらい、その後、駅前の飲み屋で軽く打ち上げ。全員の完走を祝って、2010若潮マラソン大会は幕を閉じた。

~スタート0:02:26
スタート~中間地点1:43:06
中間地点~フィニッシュ2:17:40
合計タイム4:03:12
NETタイム(参考)4:00:46
順位312/890 ※15~34才男子の部


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