日付 | 2008年11月1日(土) - 2008年11月3日(月) | ||||||
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山域 | 南アルプス | ||||||
メンバー | 単独 | ||||||
山行形態 | 2泊3日テント泊 | ||||||
アクセス | 電車、バス | ||||||
ルート (Map) |
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2日目
4時起床。朝食をとって、テントをたたんでいると夜が明けてきた。
樹木の間からは富士山がくっきりと見えている。
6:11 小無間小屋を出発する。
すでに全員出発した後で、一番最後の出発になってしまった。
みなテントを張ったままにしてあるので、軽い荷物でここから大無間山を往復するのだろう。
こちらは縦走する予定なので、全荷物を背負って歩き出す。
小無間山まではやせ尾根が続き、アップダウンも結構ある。
目の前に小無間山が聳える。
ここの登りはきつそうだが、小無間山から先はさほど急な坂はない。
崩壊地の縁では展望が大きく開ける。
左に見えるのは青薙山、その右は笊ヶ岳の辺りだろうか。
安倍奥の山々の向こうに、富士山が浮かんでいる。
深南部の山らしい、黒木に覆われた針葉樹林帯の中を歩いていく。
7:50 小無間山山頂到着。標高2149m。
山頂部は団体登山者に占拠されていた。
だいぶ前を歩いていると思っていたら、こんなところで追いついてしまった。
いくら荷物が軽いといっても、やはり団体だと行動速度は遅くなる。
少し歩くと、唐松谷ノ頭に到着する。目の前には大きな崩落地が広がっている。
樹木に覆われた小無間山山頂より、ここの方がはるかに展望が開ける。
目の前にはこれから向かう大無間山が大きく聳えている。
深い緑に包まれた本当に立派な山だ。
シラビソなどの針葉樹林帯がどこまでも続く。
登山道は所々分かりにくいところがあるものの、概ね整備されている。
しばらく歩くと1箇所、展望が大きく開けるところに出てくる。
左から聖、赤石、荒川と南アルプス3000m峰が並んでいる。
まだ山頂部に雪は積もっていないようだ。
登山道脇に遭難碑が置かれていた。
1965年に吹雪にあっての遭難死、と書かれてあるのでずいぶん昔の話だ。
当時はゴアテックス製の高性能な装備もなかっただろうし、大変だっただろう。
山頂手前でもう一度大きく展望が開ける。南ア深南部の山々が広がっている。
中央に見える双耳峰は池口岳。この山もいつか行ってみたい憧れの山だ。
9:43 大無間山山頂到着。標高2329m。
長い間想い続けた山頂にようやく到達できた。
一等三角点が埋まる山頂は樹木に覆われ展望は全くない。いかにも深南部の山らしい。
昔は櫓が建っていたらしいが、今は撤去されて跡形もない。
今日の行程はまだまだ長い。20分ほど休憩して山頂を発ち、大樽沢登山口をめざす。
小無間小屋で泊まった人とは全員すれ違ったので、こちらに向かうのは自分一人だけのようだ。
倒木が転がり、苔があちこちに現れる。
下り始めてすぐに、登ってくる3人組とすれ違う。
自分がこれから歩く道を通って、人が歩いてきたというのは心強い。
最初は比較的明瞭だった登山道も、途中から笹に埋もれて消えてしまう。
そのかわりに縦横無尽に獣道が通っている。
左手に、一際鋭角に聳える朝日岳が見えている。
寸又三山の一峰で、形が非常に格好いい。
笹に覆われた尾根は、二重山稜になっているところもあり分かりにくい。
笹は比較的薄く歩きやすいが、もはやここは登山道とは言えない。
ほとんどの人がピストン登山をし、こちらには足を踏み入れないのもうなずける。
10:12 三方嶺に到着。ここも大きく崩壊している。
この山域は侵食が進み急峻な崖が多いので、あちこちで崩落が起こっている。
ここは今回のルートの数少ない展望ポイント。
目の前に広がる山々はほとんど一般的には知られていない山ばかりだ。
これだけ広い範囲で、ほとんど人の手が入っていない山域は本州では他にない。
目の前に大きく見えるのは大根沢山。
ここからは大根沢山-信濃俣-光岳へとグレードの高い縦走路が続く。
いつか辿ることもあるだろう。
今回は逆方向の大樽沢登山口に向かって、崖の縁を歩いていく。
大井川鉄道の標識が現れる。道が間違っていないことが確認できる。
この辺りで単独行者と出会う。ここからトラバース道が続くので登山道の状態を尋ねたが、
道に迷って尾根道を歩いてきたので分からないという。
装備はかなり小さ目のデイパック、道に迷いながらもここまで到達するとは只者ではない。
辺りは倒木だらけ。まさに原始の森だ。
こちらの登山道は難しい分、暗く深い森を存分に味わえる。
12:04 少々迷いながらも、三方窪に到着。
目の前には笹原が広がるのみで、踏み跡などない。
コンパスで方向を定めて歩いていくと、登山道を表す赤テープが表れる。
道は分かりにくく、倒木が多くて歩きにくい。
尾根道と違ってトラバース道なので、あまり登山道から外れて歩きたくはない。
所々についている赤テープや青リボンは、概ね信頼できそうだ。
12:59 鹿ノ土俵場と呼ばれるところに到着する。
この辺りもただただ笹原が広がるのみ。
東側は大きく崩壊していて、そこからは寸又川右岸の山々が見渡せる。
木に埋もれた大井川鉄道の標識。
木が生長して標識を飲み込んでしまったのだろうか…
ようやくトラバース道も終わり、尾根道を下っていく。
深く暗い森が終わり、だいぶ明るくなってくる。
標高を下げていくと、上のほうでは見られなかった美しい紅葉が見られる。
張り詰めた緊張感もようやく緩んでくる。
水の音が下方に聞こえ、程なく沢まで下ってくる。
昨日登山口で汲んで以来、久々の水場。
後はこの沢に沿って下っていくだけだ。
沢には立派な橋もかけられていて、ようやく登山道らしくなってくる。
斜面につけられた道は砂と落ち葉に埋もれて、本当にただの斜面になっている。
やはりこの道を歩く人は少ないようだ。
急峻な崖につけられたトラバース道。
一応固定ロープが張られているが、かなりの危険箇所だ。
15:08 大樽沢登山口到着。標高1170m。
想像していたよりも歩き応えのある縦走路だった。
下山したとはいえ、そこはまだまだ深い山の中。
この林道は一般車両進入禁止で、ここから近くの集落まで歩いて4~5時間はかかる。
橋の脇には自転車が1台置かれていた。おそらく山中で出会った単独行者のものだろう。
林道はここからさらに山奥深くに続いている。
林道終点の光岳登山口までは、あと20.2kmもあるそうだ。
登山口の脇にはきれいに整地された一角があった。
大無間山に登る人はここにテントを張っているようだ。
今日はここを利用してテントを張ることにする。
歩いてきた大無間山の方向はきれいに色付いている。
例の場所にテントを張って、夕食をとる。
寝るにはまだ早すぎるので、林道を少し散歩してみることにする。
辺りは美しい森が広がっている。奥に見える山は不動岳。
しばらく歩くと、丸くて目立つ前黒法師岳が見えてくる。
山腹には横一線、林道が走っているのが見える。
テントに戻ってくると、山中で出会った単独行者が下山していた。
本日日帰りで、こちらから大無間山を往復したそうだ。やはり只者ではなかった。