南ア深南部縦走
日付 2009年5月1日(金) - 2009年5月5日(火)
山域 南アルプス
メンバー 単独
山行形態 4泊5日テント・無人小屋泊
アクセス 電車、バス
ルート (Map)
1日目:寸又峡温泉→前黒法師岳→ヘリポート
2日目:ヘリポート→黒法師岳→丸盆岳→鹿ノ平→不動岳往復→六呂場山→六呂場峠
3日目:六呂場峠→黒沢山→中ノ尾根山→鶏冠山南峰
4日目:鶏冠山南峰→池口岳→光岳→光小屋
5日目:光小屋→易老岳→易老渡→上島
【1日目】【2日目】【3日目】【4日目】【5日目


南アルプス深南部。長い間あこがれていた山域。
この山域は寸又川の流域に広がっている、人跡稀な大秘境だ。
寸又川左岸に一際目立つ名峰・大無間山は昨年訪れた。
今年はそこから眺めた山々、寸又川右岸の稜線を縦走することにする。
黒法師岳から光岳をめざして北上し、行けるところまで行く予定だ。
山小屋、避難小屋、指導標などは皆無。荷物の重さ、天候、残雪の量…
様々な不安を抱きつつ、6日分の食料をザックに詰めて出発する。

1日目
少しでも出発時間を早くするため、JRは新幹線を使用。
金谷駅から大井川鉄道に乗り換える。

ここから終点の千頭駅まで向かう。ずいぶんとレトロな列車だ。

1時間半ほどで千頭駅に到着。

バスの時間まで、これから使う地形図の整理を行う。
注意書きの通り、上から小さな虫が落ちてくる…

大井川鉄道は千頭駅から先も井川集落まで伸びている。
アプト式という方式を使っている日本唯一の列車で、急勾配の坂でも登れるらしい。
物珍しさはあるが、井川駅まで行くのならバスの方が安い。

10:17 寸又峡温泉バス停到着。標高530m。
金谷駅で寸又峡温泉に行く人用の切符が売られていたので、
それを買っていたのだが、その切符は往復用の割引切符だったようだ。
もうここへは帰ってこないが、今更どうにもならない。

寸又峡温泉に来るのは半年振り。相変わらず山深い。
半年前は若干紅葉していたが、今は深い緑色に覆われている。

夢の吊橋との分岐点に到着する。右に行けば大無間山からの帰りに使用した夢の吊橋だ。
左に行く道は前黒法師岳登山口へ通じている。
こちらの道は途中の林道が崩壊しているので、朝日岳か沢口山に登るようおばちゃんに勧められるが、
そういうわけには行かない。林道崩壊の情報は事前に入手していて、通過できることも確認済みである。
非常に感じの良いおばちゃんで、礼を言って先に進むことにする。

目の前に飛竜橋が現れる。とてつもなく深い峡谷にかけられた橋だ。

振り返ると、大間ダムにかかる夢の吊橋が良く見える。

飛竜橋に到着。車も通れる立派な橋だ。
夢の吊橋が怖い人はこちらの橋を通って対岸に渡ることができる。

下を覗くと、はるか下方に寸又川の流れが見える。

飛竜橋を渡って左折すると、すぐに通行止めの案内がある。
もし工事をしていたら上から石が落ちてきて危険だと、先のおばちゃんに言われていたが、
今はゴールデンウィーク。工事もやっていないだろう。

しばらく歩くと林道崩壊箇所に到着する。見事に崖が崩壊している。
橋が無ければ徒歩でも渡れなさそうだ。

工事用にかけられた簡易の橋は、落石によって足場も手すりもボロボロ。今にも崩れ落ちそうだ。
こういう場所で恐怖感を感じることはほとんどないのだが、さすがに今回は怖かった。
ザックが重いので体のバランスも極めてとりにくい。

崩落箇所からすぐのところに前黒法師岳登山道入口がある。
この山は朝日岳、沢口山と並んで寸又三山と呼ばれ、日帰り登山者によく登られている。

登山道を登っていくと、湯山集落跡というところに出てくる。

付近には石垣があちらこちらに残っている。
こんな山奥深くの斜面に集落があったなんて驚きだ。
一体どんな生活を営んでいたのだろう?

尾根に出てくると幼木帯となり、展望が大きく開ける。

目の前には寸又三山の一峰・朝日岳が真正面に望める。
非常に良く目立つ立派な山だ。

栗の木の段に到着。少し平らになっている場所で、小休止する。

付近はヒメシャラの木が目立つようになる。
この辺りで日帰り装備の単独行者とすれ違う。
崩壊した林道を通過してきた人が他にもいたということだ。

苔生した原生林の中にミツバオウレンの花が咲いている。

イワカガミ群生地に到着。

辺りは一面びっしりイワカガミの葉で埋め尽くされている。
残念ながら花期にはまだ少し早く、花は咲いていない。

真中で折れた枯木。微妙なバランスで乗っかっている。

周囲は針葉樹林に包まれた南ア深南部らしい景色が広がる。

白ガレの頭に到着。荷物が重く、思った以上に行程がはかどらない。

所々で南アルプス方面の展望が開ける。
これから辿るであろう山々が手前にぼんやりと見える。

15:06 前黒法師岳山頂到着。標高1943m。
樹林に囲まれた静かな山頂だ。今日は最悪ここで宿泊かと思っていたが、
まだ時間に余裕があるので先に進むことにする。

登山道が整備されているのは前黒法師岳まで。
ここから先は倒木が多くなり、踏み跡は薄くなる。

巨大な倒木が木の間に挟まっている。何か凄まじい光景だ。

巨大な枯木。いつ頃枯れた木なのか…
倒木も、立ち枯れた木も、みな巨木だ。

しばらく歩くと突然、打ち捨てられた林道に到着する。
ここは林業が盛んだった頃に使われていた南赤石林道の終点だ。

林道からは展望が大きく開け、南ア深南部南端の山々である
板取山、蕎麦粒山など山犬ノ段周辺の山域が望める。
今回は黒法師岳からの北上ルートを選んだが、
この辺りの山々もいつか機会があれば辿ってみたい。

振り返ると前黒法師岳が大きい。

16:39 ヘリポート跡に到着。標高1680m。
昔はヘリでも木材を搬出したらしい。
テントが何張りでも張れるこの巨大な広場で今日は寝ることにする。

側には土に埋まって頭しか見えなくなったトラックがある。
使われなくなってからどれくらいの歳月が経っているのだろう?

北側を望むと逆光の中に、明日行く予定の黒法師岳が浮かんでいた。

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